運用⑥「i-DeCo」って何?
昨日の「NISA」に続き、今日は「i-DeCo」についてお話しします。
「i-DeCo」とは、日本語表記をすると「個人型確定拠出年金」です。まずはここから言葉の意味で分解していきますね。
“確定拠出年金”に対する年金として“確定給付年金”があります。
そもそも日本では「将来の年金額(=給付額)を確定させて、そのための掛金を支払う」という確定給付型が主流でした。…企業の退職年金制度もそうでしたね。
しかしながら、バブル崩壊とともに低金利(ゼロ金利)の時代が長くなり、将来の給付額を維持するためには、元の計算のままでは原資が足りなくなってしまうという状態になってしまいました。
この問題を解決するためには、“将来の給付額を下げる”か、“掛金を上げる”かのどちらかが必要となるわけですが、どちらの場合も運用環境が好転しなければ「給付をまた下げる」「掛金をまた上げる」というようなことがいつまでも必用になってしまいます。
それでは制度を維持していくためにも多くの支障が生じてしまいますので、“逆の見方”をした制度ができてきました。
“逆の見方”というのは、「給付額を確定させる」のではなく、「掛金を確定させて、将来の給付額は運用成果に応じたものにする」というものであり、これが「確定拠出年金」ということです。
そして、この確定拠出年金は、当初は“企業が退職年金のための掛金を拠出する”という「企業型」でしたが、この間口を広げて、“個人でも自身の老後生活資金のために拠出する”ことができる「個人型」が加わりました。
これで「個人型確定拠出年金」という制度ができたわけですが、経緯を見ていくと何となくその内容もイメージできますよね。
では、この「i-DeCo」の内容・メリット・注意点を見ていきましょう。
<内容>…詳細はネット検索で公式リーフレット等をご覧ください。
・加入者は、自身の判断で金融機関を決める。
・加入者は、限度の範囲内で拠出額を決め、金融機関が設けるファンドに拠出する。
・60歳以降、年金もしくは一時金の方法で受け取る。
…簡単に言うとこんなものですが、金融機関も・ファンドも自分で決めていきますので、その結果については自身で責任を負うものです。
お友達のAさんと同期間・同額拠出したとしても、金融機関・ファンドが違えば、老後の受取額も異なりますが、これに文句はつけられません。
そして、会社勤め・自営業・専業主婦等によって決められている拠出限度額が以下のとおりです。
<メリット>
・「運用利益」については全額非課税!
・「拠出額」については全額所得控除!
・「受取年金」については公的年金控除!
・「受取一時金」については退職所得控除!
…という、税制上の多くのメリットがあります。
「NISA」の場合も運用益については非課税でしたが、元本部分についての所得控除はなかったですね、ここは大きな違いであり、この所得控除で安く済んだ所得税・住民税の額も運用益のようにとらえたら大きいですよ。
<注意点>
・運用結果については自己責任であり、元本割れのリスクも背負う。
・60歳までは、引き出して使うことはできない。
・手数料がかかる。
…という点があります。
手数料については金融機関によっても異なりますので、どこでやるのか・どのファンドにするのかを選ぶ際には注意が必要です。
税制上では大きなメリットのある制度ですが、途中で豪雨等の自然災害で資金が必要になったとしても引き出して使うことはできませんので、“融通がきかない”という点があることは納得のうえで始めてください。
というように、いろいろ注意点はありますが、「長期・分散・平準」の原則に則り、他の制度にない税制上のメリットを生かしていけば、公的年金だけでは不足する老後生活資金を自分で補っていく手段として強い味方となってくれるでしょう。