<相続⑤>「相続人」についての注意点!
昨日は「誰が相続人になるか…」という視点でお話ししました。
配偶者に加えて、①下へ・②下がいなければ上へ・③下も上もいなければ横へ…、と。
上下横という表現はご理解いただけますよね?
補足しておきますと、
※下は「子」。子が本人より先に死亡している場合は「孫」へ、孫も先に死亡している場合は「曾孫」へ。ただし代襲はここまで。
※上は「親」。親が本人より先に死亡している場合は「祖父母」へ。祖父母も先に死亡している場合は「曾祖父母」へ。上は制限ありませんが、現実には祖父母以上になることはまずないでしょうね。
※横は「兄弟」。兄弟が本人より先に死亡している場合は「甥姪」へ。ただし代襲はここまで。
落ち着いて、“どこで止まる”かを考えていけば、一見複雑なケースであっても判断できるでしょう。
今日は、さらに注意しておく必要があるポイントを整理しておきましょう。
1.「相続放棄」をしている場合はどうなる?
…相続人の意思として「相続放棄」をすることができます。一般的には借金等のマイナスの財産が多い場合なのでしょうが、この「相続放棄」をした場合に、さらにその子への「代襲」はされるのでしょうか? 答えはNOです。
放棄すると、“最初からその人はいなかった”として扱われますから、代襲されることもありません。
2.内縁関係の妻・子はどうなる?
…まず、内縁の妻・内縁の夫は相続人になりません。戸籍上の配偶者であることが必要です。故に所謂“事実婚”も同じですし、離婚したら相続人から外れることになります。
…ただし、「子」は別です。内縁の妻との子であっても、認知されていれば「子」であることに変わりありませんので相続人です。
3.「養子縁組」をすると相続人になる?
…まず、民法上の養子縁組には「普通養子」と「特別養子」の2種があります。
簡単に言うと、「普通養子は、実親・養親両方の子」であり、「特別養子は実親との縁が無くなって、養親のみの子」であると理解してください。
故に、普通養子の場合は両方の相続人になりますが、特別養子の場合は養親のみの相続人になります。
4.相続人が「行方不明」の場合はどうなる?
…相続人が複数いる場合は、全員の合意をもっての「分割協議」が必要になるわけですが、その中で行方不明な人がいると困ってしまいますね。
この場合は「失踪宣告」の手続きをすることで、“既に死亡した人”として扱い、残りのメンバーで分割協議を進めます。
5.相続人が「相続欠格」や「相続排除」の場合は?
…まず、相続人本人の意思での「相続放棄」とは異なるものですから混同しないでくださいね。
「相続欠格」とは被相続人の命を脅かしたり、遺言を脅迫したりした場合に相続の権利を剥奪されることです。また「相続排除」とは被相続人を虐待したり侮辱した場合に、欠格と同様に相続権が剥奪されることを表します。
「欠格」は被相続人の意思に関係なし、「排除」は被相続人の意思によって決まります。
放棄と異なり、その子への「代襲」は残ります。
6.最終的に「相続人がいない場合」はどうなるの?
…この場合、家庭裁判所が相続財産管理人を選定し、相続財産管理人が「相続人捜索の公告」を行います。そして期限内に相続人・債権人が現れない場合は、遺産全てが国庫に帰属することになります。
なので、そもそも相続人になる人がいない場合は、事前に遺言を残して、お世話になった人・譲りたい人の手に渡るようにしておくことが肝心です。