<働・健④>「健康経営」って何だっけ?
少々日数が空いてしまいました。ごめんなさい。
途中、トピックス記事を挟みましたが、今日は本題に戻って、「コロナ禍の働き方改革と健康経営」について続けていきますね。
前回、“コロナ禍での働き方改革”として、“結果的に残業減らして・有給休暇増えた”というだけでは、会社としては決してプラス効果にはならないというお話しをしました。
「働き方改革」法令に対処し、それでも売り上げも利益も下げず、逆に業容を拡大していくためには、従業員と一緒になって業務改革・効率改善を行い、従業員満足度の高い経営をしていかなければなりません。
そこにテーマの一つとして取り入れるべきなのが「健康経営」だとお話ししたところまでを思い出してください。
この“位置づけ”が曖昧だと、働き方改革も健康経営も、すべてがお題目だけになってしまい、当然プラス効果にはなりませんからね。
さて、では今日は「健康経営」とは何なのか…、ここをおさらいしておきます。
日本で「健康経営」が求められるようになった背景・経緯をまとめるとこうなります。
①国として、総人口が減少に転じ、高齢化は更に進んでいる
②「健康な高齢者」なら良いが、「健康寿命」と平均寿命の差は歴然とある
③“不健康な高齢者”が増えていくことは、社会保障制度維持への問題になる
④加えて、“現役世代”が増えないことは、恒常的人手不足が更に悪化する
⑤この課題に対処するたためには、“高齢になっても健康で・働ける”環境を作っていく必要がある
⑥そのためには、企業が“従業員の健康を更に重視する”道すじを作っていかなければならない
私見ですが、こんな経緯で、国として健康経営を推し進めていこうという方向性ができました。
従業員の健康管理については、従前からの「労働安全衛生法」等に基づいて定期健康診断等が行われてきましたが、これまでは『企業は最低限の環境整備を満たし、その先は従業員の自己責任』的な重みであり、ここに必要となる費用は、企業にとっては『コスト』でしたね。
この考え方を変えて、従業員の健康管理への費用は、企業にとっては『投資』と位置付け、経営上「戦略的」にとらえていこうというのが「健康経営」です。
活字で表現していくと、なんとも堅いですね。到底プラス効果をイメージしていただくことは難しいでしょう。
そんなとき、皆さんにぜひ覚えておいていただきたいのが「ジョンソンエンドジョンソン社」の取組みです。
この会社、日本では1961年の創業で、バンドエイドやスキンケア商品でおなじみですが、そもそもは1886年にスタートした世界企業です。
130年以上の歴史の中で、80年近く前から企業理念としているのが『健康管理にかける1ドルの投資は、将来3ドルになって返ってくる』というものです。
まさにこれが健康経営への考え方であり、永年にわたって実績になっているという証です。
日本でも、2013年の安倍政権下の「日本再興戦略」に取り入れられ、2014年の改訂時に「健康経営」という言葉がスタートしました。
『従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する経営手法』として、プラス効果を生むための取組みなんだと考えてください。
経営者の皆さんに取組みを提案する際、ここがあやふやだと“メリットが感じられない”と言われてしまい、話は前に進みません。
「働き方改革と健康経営をセットで戦略的に行う」こと、そしてその将来的メリットを経営者にイメージしてもらえて、ようやくスタートラインに立つことになります。
では、次回は健康経営の具体的な内容についてお話ししますね。