【トピックス】「火の鳥」が飛び立つ!?
今日はトピックス的なニュースをお伝えしましょう。
皆さんは、日頃「最新のがん治療」についてお客様にどうお話ししていますか?
がん治療というと、大きくは“3つの道”、『手術・放射線・薬物療法』と、、指を3本立ててお伝えしてください。
①手術⇒身体にメスを入れて、体内のがん患部を切り取る…、ということですが、大きく開腹等するとなると、身体への負担は大きく、当然術後の回復のための時間もかかり、社会復帰までは相当の期間を要します。
②放射線⇒メスを入れないということは、身体には優しいということになりますね。でも、体外から照射した放射線は、身体の中を進んでいくうちに、他の健康な細胞も攻撃してしまい、副作用という悪影響が心配されます。
そこで、現在では「できるだけがん患部にのみ照射する技術」の開発が進み、さらに放射線自体も従来のガンマ線等とは違う“効き方”をする陽子線・重粒子線等の開発が進んでいます。
③薬物療法⇒そもそも抗がん剤というのは、「細胞分裂のスピードが速い細胞」を攻撃します。そうすると、がん細胞以外でも分裂スピードの速い細胞には影響がでてしまいます。消化器組織・造血組織・造毛組織などはスピードが速いので、結果として吐き気・頭痛・発熱・脱毛等の副作用が生じてしまうわけですね。
そこで薬剤の開発は日々進んでおり、分裂スピードではなく、“タンパク質等の分子レベル”を目印とした「分子標的薬」や、本来自身の体内に持っている免疫力を助けることでがんと闘おうという「免疫チェックポイント阻害薬」や「活性化自己リンパ球療法」の開発も進んでいます。
手術・放射線・薬物療法ともに共通して言えるのは、「ピンポイントでがんを攻撃し、他の健康な細胞に悪影響を及ぼすことなく、結果として身体に優しい治療法」へという方向で進んでいるわけですね。
その一環で近年注目されているのが「ロボット支援技術を用いた腹腔鏡手術」です。
テレビドラマにも登場しましたし、『ダヴィンチ』という名前は聞いたことあるという方も多いのではないでしょうか。
複数の腹腔鏡機材を操作する医師をロボットが支援することで、細かな作業を・ミスなくできるという、ありがたいものです。
今、日本国内では約400台のダヴィンチが稼働しており、前立腺がんを中心として活用されているのですが、このダヴィンチにも課題はあります。
一台が2~3億円という高価な物であり、維持費も年間1~2千万円必要になるという費用面、さらに全体ではそれなりに大きな物になるので、専用の部屋が必要になるというスペース面、…こんな課題がある状況では、地方で使用頻度の低い病院では採算があわず、どうしても都市部の大病院でしか導入が難しいという物です。
さて、そこで今日の本題です。
費用・スペースという課題を解決し、広く普及できるように日本国内で開発されたサージカルロボットが「Hinotori(火の鳥)」です。
川崎重工・シスメックスが共同開発し、1台の値段は1億円程度とダヴィンチの半額程度、そして大きさも上の写真のようにダヴィンチよりも格段に小さくできるので、専用の部屋がなくても大丈夫、という物です。
アメリカ製のダヴィンチの独壇場だった手術ロボットに、日本製の「Hinotori」が参入して世界中で使われていくというのは、なんとも嬉しい話じゃないですか。
実際の稼働開始には、まだ数年の期間が必要ですが、「ロボット支援手術の意義」とともに、お客様へ届けるニュースとして知っておいて損はないですよ。