<相続⑮>「遺言」のまとめ
「遺言」についてお話ししてきましたが、今日はそのまとめです。
まず、ここまでを補足する意味で、「遺言のできる人・遺言で遺志を残せる項目」について。
<遺言のできる人>
・15歳以上である
=成人(20歳)ではなく、15歳以上で遺言はできます。とは言うものの、こんなに若くて遺言を考えるというのは相当のレアケースですね。
・遺言能力がある
=高齢となって、例えば「成年後見人」をつけている場合などは注意が必要です。この場合、「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」ということで、法律行為が無効となる可能性があります。
ただし、遺言については本人の意思を尊重すべきという観点から、★事理を弁識する能力を一時回復しており、★医師2人以上の立会いがある遺言については有効な物となります。
<遺言できる項目>
①財産処分
・「誰に、何を」という、基本の部分ですね。
②認知
・子の認知を遺言でできる旨は民法で定められています。
③相続人の排除
・最終的には家庭裁判所の判断が必要になりますが、遺言で相続人の排除を定めることができます。
・自分が死んだら“未成年の子だけが残る”というような場合、その子の後見人を誰にするかを指定しておくことができます。
⑤遺産分割の禁止
・「5年間」という期限はありますが、その間は遺産分割の禁止を指定することができます。
⑥遺言執行者の指定
・遺言執行者は、遺産の管理をし、遺言執行に必要な権利義務を持つ人です。
…遺言能力、遺言項目については、法律上はまだまだ細かな決め事もありますが、ここで全てをお話しする必要は無いかとも思いますので、上記は“大切な部分の抜粋”程度に受け止めてください。
少し前の話に戻りますが、事例として「ニトリ」さんの争族問題をご紹介しましたね。
「分割しにくい財産=不動産・非上場の自社株等」が財産の大半である中小企業経営者にとって、遺言で定めておくことは本当に必要です。
本来なら仲の良い家族が、遺産分割を機に仲たがいしてしまうなんて悲劇を生まないよう、今のうちから考えていってください。
しつこいようですが、それが“愛する家族のため”ですよ!
そして、遺言と同様に考えておいていただきたいのが「エンディングノート」の準備です。
人が亡くなると、家族は…、
★遺言はあるのか、ないのか
★どこに・どんな財産があるのか
★どこに・どんな負債(借金)があるのか
★訃報を誰に伝えたらいいのか
★どんな葬儀をしてほしいと考えていたのか
…などなど、ドタバタの中で、いろんな物を探したり、判断していかなければなりません。
そんな時に、エンディングノートとして書き残してあれば、家族は本当に助かりますし、何よりもご自身の希望を残しておくことができますね。
エンディングノートは法的に定められた物ではありませんから、書式・記載項目等決められているわけではありません。
金融機関、葬儀社等、いろんなところで作られてもいますので、気軽に問い合わせてみられたらよいかと思います。