年金⑦「老後2千万円問題」って何?
昨年、金融庁が取り上げました「老後生活2千万円不足問題」を覚えていますか?
テレビ等のマスコミでも連日取り上げましたし、国会での質疑も大きく報じられましたから覚えている方は多いと思います。
これが厚生労働省じゃなくて金融庁からだったというのも興味深いのですが、まあそこは置いといて、今日はこの中身と注意点をお話ししていきましょう。
まず、なぜ2千万円なのかです。
簡単に言うと、「月5万円足りないよ、それを30年だと2,000万円だね。」ということです。
リタイア後の老夫婦の生活を考えたとき、どれだけの年金収入があって、どれだけの生活支出があるかを比較したわけですね。
これが…
<収入>約21万円-<支出>約26万円=<不足>約5万円
…という計算です。
収入の21万円は、年金支給額(夫婦2人分)のモデルから計算し、支出の26万円は総務省の調査データ(下表)が根拠です。
決して贅沢な暮らしをしているわけではないというのがお分かりいただけるのではないかと思いますが、それだけ節約しても毎月5万円の赤字だということですね。
では、この赤字をどうするかとなると、「若いうちからの貯蓄・退職金」を切り崩していくことになり、崩すものがなければ高齢になっても働いて収入を得る必要があるということです。
ここで大切になるのが退職金です。
みんなウン千万円あるなら心配はないのですが、現実はどうでしょう。
…これが平均的な退職金の額です。
もちろん、会社によってこの額は違いますが、大まかには1千万円前後ということになるのではないでしょうか。
私は以前から「2,000万足りません、退職金で1,000万埋めるとしても、自分で1,000万は作っておく必要があります」と訴えてきました。
「2,000万なんて作れるか~!」とおっしゃる方も、1,000万円となるとなんとか見えてきませんか? 短期間では難しいですが、若いうちから重ねていけば、この1,000万円という額は無理なものではありません。
金融庁も「“自助努力”でなんとかしてね、そのためにイデコとかNISAで応援するから」と言いたかったのが、この問題のそもそもでした。
自助努力をお勧めすることは間違いないのですが、最後にこの試算で注意しておかなければならない点があります。
★今後、更に長生きになったら…
★公的年金の支給額が下がったら…
★退職金水準が下がったら…
…計算はやり直さなきゃいけないですね。
「終身雇用あてにしない、退職金よりも今の給与…」若い皆さんからはこんな声も上がりますよね。
病気・ケガと違って、老後の心配は“いつ”来るかは分かります。
だからこそ、ゼロ金利の時代であっても、しっかり勉強して、自分で老後に備えていく必要があり、そのお手伝いをする皆さんの知識は、これからもっともっと高いものが求められるということです。