老後⑤「老齢厚生年金」っていくらもらえる?
では、今日は「老齢厚生年金」です。
前回お話ししましたように、「老齢基礎年金」は収入の大小に関係なく、「納付月数」がすべてでしたね。
ところが、「老齢厚生年金」は個々の収入の額によって変わってきます。
新入社員の頃、役職がついてから、定年前…、皆さん一人一人が生涯の収入は異なりますね。
言うなれば、この歴史をず~っと追いかけて積み重ねていくのが厚生年金です。
まあ、もらう年金額のためだけでなく、月々の保険料のためにも使われる履歴ですから、「あなたの等級」という意味で皆さんの目にも触れていると思います。
この等級というのが、1級~30級まであり、年に1度「今年の等級」が決定されます。
ざっくりと1万円から2万円の幅で等級は進んでいきますから、この履歴を見れば「あの頃の給料はこれくらいだったんだな~」というのがわかります。
ただ、最高等級30級は「605,000円~」ということで、それ以上は皆さん同じ扱いになります。605,000円×12カ月=7,260,000円以上の年収になると、標準報酬額だけを見ても収入実額が見えるものではなくなります。
そしてもう1点、平成15年4月をもって、この計算方法が変わりました。
「総報酬制」の導入ということなのですが、要は賞与を含めるか含めないかという違いです。平成15年3月までは賞与を含めず、同年4月以降は含めて計算するようになりました。
これでまた計算式がややこしくなってしまったのですが…、
…これが「老齢厚生年金」の計算式です。
いかがです? 面倒くさいですよね。イメージできないですよね。
では、この計算をちょっとほぐしてみましょうね。
掛け算ですから、順番を変えてもよいですよね。
そして、これから年金をもらうという人にとっては平成15年4月以降のほうが大半になってきますから、「B」のほうをすべてと仮定し、さらに「5.481」という数値は「5」に丸めてみますね。
すると…、
年金額=平均標準報酬額×加入月数×5/1,000
=生涯収入総額×1/200
となります。
仮に、20歳から60歳まで40年間勤めたとすると、「生涯収入×1/40」なら「平均年収」分を年金としてもらえることになります。
「1/200」と「1/40」を比べてみるとどうですか? 5分の1ということですよね。
そうなんです。
非常にざっくりとした言い方をすると、老齢厚生年金の額は、「平均年収の2割」ということなんですね。
「えっ、それだけ?」と思いました?
まだ1階部分の基礎年金がありましたね。
ざっくり80万円でしたが、仮に平均年収を400万円だとすると、これも2割ということになりますね。
そうすると、「基礎年金部分で2割+厚生年金部分で2割=平均年収の4割」というのが大まかなイメージになるでしょう。
いかがですか?
これでは老後生活資金として充分な額とは言えないのではないですか?
記憶に新しいところで「老後生活2千万円問題」というのがありましたね。
ここは次回以降でもう少し深掘りしていきますが、“これくらい足りないよね”という表現を政府がしたということなんです。
まあ、「公的年金で充分だ」と考えている方は少ないでしょうけど、実額としてつきつけられると、なんとも大きな金額でしたね。
では、次回はこの年金額をもっと明確に知るための「ねんきん定期便」についてお話ししていきましょう。