運用④投資運用の三原則「平準」
今日も運用の三原則について、その3回目として「平準」についてお話しします。
③平準
この「平準」ですが、他の皆さんでは同様な意味で「積立」とされている方もありますが、要は「まとまった資金を一時金で運用するより、月々平準化して投資していくことが確実にリスク軽減になる」ということなんです。
これを理解していただくためには「ドルコスト平均法」という考え方を理解していただく必要があります。
では、例としてこんな図をご覧ください。
この3人、5カ月間リンゴを買い続けます。
Aさんは「毎月100円分づつ」、Bさんは「毎月1個づつ」、Cさんは「最初に500円分」買います。
リンゴの値段は、ケース①では100円→120円→140円→50円→90円と値動きしています。
5カ月が経過したとき、元手として拠出したのは3人ともに500円です。
さあ、5カ月後にカゴの中にどれだけのリンゴがあるかというと…、
Aさん=5.7個、Bさん=5個、Cさん=5個です。同じ額を投資して、買えたリンゴはAさんが一番多かったということですから、「購入単価」はAさんが一番少なく済んだということですね。
「この値動きだからこうなったんだろう、だまされないぞ!」って声が聞こえそうですね。
では、ケース②ではどうでしょう。
①とは異なる値動きですが、これもまたAさんの買い方が一番単価安く買えていることに注目してください。
そして、まだ疑問ありと思われる方は、チラシの裏でも使っていろんなケースを試してみてください。
結果的には「毎月同額を投資する」買い方が一番になるということをわかっていただけるはずです。
ただ、「Aさんのパターンが必ず儲かる」ということではありません。
スタートとゴールを見比べたとき、大きく値下がりしている場合はAさんも投資元本を割り込むことは生じます。でも、その場合でも「損を一番少なくできている」のがAさんだという結果になります。
また、ゴールで大きく値上がりしている場合には、AさんよりCさんのほうが“儲け額”が大きくなる場合もあり得ます。
ただ、この場合はCさんとしては“いつ買って、いつ手放せばいいか…”を毎月ドキドキしながら判断しなければなりません。ここが素人である我々には難しいところです。
話しを戻しますね。
なぜAさんが“勝てる”かというと、「安いときに多く買い、高いときに少なく買う」という買い方を、地道にコツコツと続けたからなんです。
これがドルコスト平均法です。
運用の方法として株式を考えたとき、プロのように勉強して、分刻みで売り買いを判断できるという方ならCさんのように“今だ~!”って判断していけばいいと思いますが、そんな方は少ないでしょう。
素人である我々は、ドルコスト平均法を信じて「毎月同額を買い続ける」ことでリスクを減らしてリターンを大きくする最善策だと言えます。
…仮に、今自由にできる100万円があるとしたら、全額を一時金運用にまわすのではなく、1万円×100回に分けた運用策をとったほうが賢明だとも言えますね。
ご承知のように、今株式市場は世界中で大きく下がっています。今日が底で明日からは上がるのか…、いやいやまだ明日以降も下がるのか…、私もなんともわかりません。
でも、これだれ下がっている時に、コンスタントに買っていくことは、とても“安く・多く”買えるわけですから、将来に値を戻したときのプラス効果は大きくなります。
何度も言うようですが、「ドルコスト平均法を信じて同額買い続ける」ことをお勧めしますね。
そして、このように「毎月定額」を「長期間」運用するという方法が、「投資信託」「i-DeCo」であったり「変額保険」であるわけです。
ともに最終的に運用する銘柄の判断はプロに任せて、我々は大まかな方向性(株式・債券の比率、国内・国外の比率)を指示して、大きな財布(=ファンド)にお金を入れていきます。
期間の途中で、この方向性は見直しながら(=スイッチング)、原則である「長期・分散・平準」を守って進めていけば、今の時代でも3%とか5%という運用成果は決して無理なことではありません。
…といっても、「将来をお約束する」ことはできませんので、そこはご理解くださいね。
では、次回は今話題の「NISA(ニーサ)」と「i-DeCo(イデコ)」についてご紹介していきましょう。