法人税⑦「貸借対照表」を理解する!
緊急事態宣言も徐々に解除のニュースが聞こえるようになりました。
まだまだウイルスが死滅したわけではありませんから“全てOK”というわけにはいきませんが、自重・自粛をしながら、建設的なステップに進んでいきたいですね。
…ということで、今日は本題に戻って、“財務諸表の理解”について進めていきましょう。
ではまず、皆さん自身がこれから会社を作って商売を始めるんだとイメージしてみてください。
事業を開始するためには、最初にどうしても資金が必要になりますね。
もちろん自分で作り上げた資金を投入して…、ということになるのでしょうが、それだけでは足りないとしたらどうしますか?
方法は2つありますね。
一つは、共に賛同する人を探して、共同経営者となって資金を“出資”してもらう方法、そしてもう一つは、金融機関・親戚・知人から“借りる”という方法、この2つです。
例として、自己資金500万円・出資200万円・借入300万円とすると、これで晴れて1,000万円の元手で事業がスタートします。
経営者である皆さんは、この1,000万円を元に、店を作り・原材料を仕入れ・機械を買い、そして出来上がった製品を販売して利益を目指していくわけですから、1,000万円はいつまでもお金の状態で持っているわけではなく、日々姿を変えていくことになりますね。
この状態を現すのが「貸借対照表」なんです。
「貸借対照表」は真ん中に縦線が引かれており左右に分かれます。
この右側が、「このお金の出処はどこなのか」を現しており、左側が「このお金が、今はどんな姿になっているか」を現しています。
同じ1,000万円の「出処」と「姿」ですから左右が同じ金額になるわけです。
そして、右半分はさらに上下に分かれます。これは“自分のお金”なのか、“他人様のお金”なのかです。
先ほどの例でいうと、自己資金と出資は会社としては“自分のお金”ですから、この700万円が「純資産」となり、借入は“他人様のお金”ですから300万円の「負債」となります。
左半分は、現金として手元に残している部分、製品として倉庫に積んである部分などが「流動資産」、土地や建物・機械などが「固定資産」として分類されていきます。
一般的な貸借対照表の例が…、
…こんな感じです。
まずは、左右で現していること、上下で現していること、そしてそのバランス…、こんなところに着目していきます。
私はよく「短冊の長さ」でイメージしてくださいとお話しするのですが、例えばこんな4つのケースを考えてみてください。
①は負債と純資産がほぼ同額でバランスとれてます。②は大半が純資産であり、借入部分はほんの少しですね。
その反面、③は負債部分が大きく、経営的には安定していない感がありますね。
(…といっても、例えば保険会社の貸借対照表はとんでもなく③のバランスですよ。
ただし、これは保険料はお客様のお金ですから当然そうなるわけで、経営があぶないということではありませんのでご安心を。)
そして④のように左右の短冊があわなくなってしまうとどうでしょう。
資産が1,000万円、負債が1,300万円というようなケースです。
この場合は“短冊を折りたたむ”とでも言いましょうか、純資産を-300万円とすることで左右を合わせます。
この④のようなケース、「債務が資産を超過している」ということで、「債務超過」の企業だということですね。
皆さんが保険提案をする場合も、できれば①②のような会社に、そして③のような場合は要注意、④のような会社にはダメですね。
さらにもう少し細かい点をチェックするとしたら…、
★「流動資産」と「流動負債」のバランス⇒流動資産のほうが大きくないと資金ショートしてしまう危険性あり!
★「売掛金」のボリュームと回収サイクルには注意!
★「流動資産」と「固定資産」のバランス⇒固定資産ばかりが大きいと換金性に問題あり!
★「短期借入金」・「買掛金」総額程度は経営者の保障(保険)必要!
★「利益剰余金」は褒めポイント!…推移も含めて
★「純資産の部」÷株数で、ざっくりと自社株の評価ができる!
…こまかく言うとまだまだありますが、まずはこのあたりはチェックできるようになってくださいね。