運用③投資運用の三原則「分散」
昨日は「運用の三原則=長期・分散・平準」のうち、「長期」についてお話ししました。今日はその続きで「分散」についてです。
②分散
資産運用・投資運用を考えるとき、リスクとリターン、これは両面考えていかなければならないことです。
そりゃリスクなく、高いリターンが期待できるなんて商品があればそれにこしたことはないのですが、そんなうまい話はありませんね。…もしそんな話を持ちかけられていたら、それは詐欺だと思うべきです。
ガチガチにリスクを避けるなら、リターンは期待できません。逆に高いリターンを求めるなら、ある程度はリスクも受け入れていかなければなりません。
難しいのはここですね。
バブル崩壊・リーマンショックと経験すると、とにかく安全にと思われる方も多いでしょう。でも、今の銀行預金ではゼロが2つも並ぶような金利です、それでも安全だからとおっしゃる皆さん、コンビニATMでかかる手数料を利息で埋めようと思ったらどれだけの期間が必要ですか?
手数料もかかり、物価も上がったとしたら、それは日に日に目減りしていってるということですよね。
私は“全資金を運用に回す”ことをお勧めするわけではありません。家計を見直して、日々使うためのお金はノーリスクで、老後に向けて“働かせる”お金にはある程度のリスクを飲み込んで、というように分けて考えるべきだと思います
「リスクは絶対いや!」という方には、まずここから頭を柔らかくしていただく必要があります。
では、ある程度のリスクは許容していただいたとしますね。
そのうえで、出来る限りリスクを軽減していこうと思うと、昨日の「長期」で考えることとともに、運用方法をどこか一方向に集約するのではなく、各方向に「分散」させることが肝心となります。
このたとえ話として「卵を全部一つのカゴに入れるんじゃなくて、いくつかのカゴに分けて持つことで、もし転んでもいくつかの卵は割れないで済む…」という言い方をしますね。
これが分散投資です。
この「分散」を考えるとき大切なのは、「広く分散する」「相反する動きのものに分散する」ということです。
分散するのは、ある方法にリスクがあるときに、他の方法がカバーしてくれることが大切なのですから、同じ方向性のもので分けていてもあまりリスク分散の効果は期待できません。
例えば、【株式⇔債券】とか、【日本⇔世界】という分散が肝心です。
今まさに世界中で株式市場は下降を示していますね。
そのニュースと同時に「長期金利の下落」というニュースを理解していますか?
この「長期金利の下落」というニュースは、すなわち「債券価格が値上がりしている」んだなと理解してください。
例えば、「10年後に100円になる債券」が50円で買えたとします。ところが世界中で我も我もとこの債券を買いたいとなると、50円が60円・70円と値上がりしていきますね。
でも、50円で買った人も、70円で買った人も、最終的には100円を手にするわけですから、利率で考えたら「価格が上がるほど、利率は下がる」ということになりますね。
コロナウイルスへの不安感で、世界中の株式市場から資金は流出し、株価は下がっています。そしてこのお金がどこに流れているかというと、安全資産である「債券」を買っているわけですから、「価格上昇⇒金利低下」という姿になっているわけですね。
…株式で下がっても、債券の上昇でカバーする、これが【株式⇔債券】の分散をお勧めする理由です。
そして、【日本⇔世界】という分散は“相反する動き”をするわけではありませんが、案用の舞台を広くするという意味で効果があります。
過去の歴史として見ていただくと…、
…こんな図があります。
感じていただきたいのは「プラスもマイナスも棒グラフの長さが短くなっている」ということです。
4つの運用が、相反するリスクとリターンを消しあいますから、確かにリターンも小さくなりますが、確実にリスクは減らすことができていますね。
同様にもう一つ見てください…、
この図のように「6資産均等分散」をしたら、いろんな出来事があった20年だけど、マイナスになることを消しながら無難なところにたどり着いた…ということを感じませんか?
この図の例は“均等”に分散していますが、さらに自分の判断で「分散のバランス」を変えていくことができれば、世界経済の状況を見ながら「こっち寄り…」「あっち寄り…」というように方向づけしていけますね。
何よりも今日申し上げたいのは、「広く・相反する動きをするものに分散することで、相当のリスクは回避できる!」ということです。