所得税⑦「2020年」の税制改正ポイント!
「所得税」をテーマに6回にわたってお話ししてきましたが、今日はこのテーマの最終回として「2020年の改正点」をお話ししますね。
毎年のことですが、所得税に限らず以下の流れで税制改正が行われます。
①夏~秋口 ⇒ 各省の要望を踏まえ、税制調査会での改正案作成
②年末 ⇒ 「税制改正大綱」発表
③年始~春 ⇒ 通常国会で審議
④春 ⇒ 国会可決で改正案が成立
年によって②③がズレる(後ろに)ことがありますが、大まかにはこんな感じです。
テレビ・新聞等では、①の段階で「こうなるかも…」というようなニュースが流れ、②の「大綱」がでると大々的に報じられますね。
そして③は、今のところは「大綱どおり」で進みますから、まず年末の「大綱」を見ていけば、翌年春からの改正点はわかります。
「大綱」は120ページにもわたる大掛かりなもので、書かれている表現も専門的なものが多く、そのままではなかなか理解は難しいですから、新聞記事等で平易に解説されたものをご覧になるほうがいいでしょう。
今年(2020年)の税制改正は、それほど大きな改正ではありませんでしたので、皆さんのイメージにも薄いのではないでしょうか。
ここでは、所得税に係る2点をご紹介しましょう。
(法人税等の改正点は、それぞれの回でお話しします)
①未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(寡夫)控除の見直し
…これまで、死別・離別によってひとり親となった場合の寡婦(寡夫)控除制度はありましたが、「未婚のひとり親」に対しては控除制度がありませんでした。
さらに、これまでの寡婦(寡夫)控除は性別によって控除額が異なり、公平性に欠けるという指摘もありました。
そこで、今年の改正で「未婚のひとり親」に対しても控除制度を新設し、加えて男女ともに控除額は同じになりました。
比較表にするとこんな感じです。
表の水色の部分が、「新たに加わった部分・控除額が増えた部分」であり、ピンクの部分が「控除がなくなった部分」です。
ただし、戸籍上の届をしていないだけの「事実婚」状態の場合は、「ひとり親」として認められない場合もありますから注意してください。
②「NISA」の拡充
…以前にも「NISAって何?」の回でお話ししましたが、運用利益が非課税となる「NISA」が改正されます。ポイントは…、
・「一般NISA」は、投資リスクの低い部分(1階部分)とリスクを踏まえた部分(2階部分)の2階建てになる。
・「積立NISA」は2042年まで延長される。
・「ジュニアNISA」は2023年で終了する。
という点です。
まあ、これは税制改正の項目としてよりも、「i-DeCo」「変額保険」等との内容対比という視点から理解していったほうがよいでしょう。