FPの小ネタ

保険営業に役立つ小ネタ集

<相続⑦>相続申告、知らんぷりしてたらどうなる?

父親・母親が亡くなり、通夜~葬儀等に追われてあっという間に数カ月、ようやく落ち着いてきた頃、考えなければならないのが「相続の申告」です。

「でも、祖父・祖母を亡くしたときには親父は何もしなかったよな~」

「子供は自分だけだから、誰かに分割することも考えなくていいし…」

「税務署なんて行ったことないから、なんとなくやだな~」

…なんて思って、そのまま知らんぷりしてたらどうなるでしょう?

今日はそんなお話しです。

 

まず、日本の税制の大原則は「申告納税」です。

国民みんなが“きちんとした人”で、ちゃんと自ら申告してくれることを前提としています。…いい国ですよね~。

でも…、だからこそ…、申告しないで知らんぷりする人には厳しいという仕組みにもなっていることを忘れてはダメです。

「無申告」に対するペナルティは非常に厳しいものだということを、まずは覚悟しておいてください。

 

「それじゃあ、何の財産もない人も、みんな申告しなきゃいけないの?」って思いますよね? でもこれは答えは「否」です。

前回も書きましたが、相続税には基礎控除があり、「3,000万円+(600万円×法定相続人数)」までは相続税はかかりません

例えば、ご主人が亡くなり、奥さんと2人の子供が残されたとすると、「3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円」までは非課税だということです。

この、基礎控除以内という場合は、申告の必要はありませんので安心してください。

(…ただし、これは税の面でのことです。相続税はかからなくても、分割の面で“争族”となってしまうケースは多くあります。)

 

では、次のステップ、基礎控除より多いのは間違いないけど、黙ってりゃ税務署にはバレないだろう…」って、知らんぷりしてたらどうなるでしょう。

 

まず、人が亡くなると市役所に死亡届を出しますよね、すると役所は相続税法に基づいて、税務署に連絡します。これにより、税務署は死亡に関する情報を全て持つことになります。

そして税務署は、不動産の情報や、過去の確定申告の情報等をもとに、相続税の発生しそうな人”の目安をつけて「相続についてのお尋ね」という文書を発送します。

税務署は多様なシステムを通じて、個人の財産をほぼ把握していますので、この文書が届いたら、まず課税対象になると思っておいたほうがよいでしょう。

数値でいうと、全国で毎年800件~900件の税務調査が行われ、その“約8割”で申告漏れが指摘されています。

 

この調査は強い権限を持ち、拒否することはできません

亡くなられた方の財産情報はもちろん、相続人であるご家族の口座情報孫名義の口座等まで、事前に調べて把握したうえでやってきますので、口頭でごまかそうなんてすると“悪意”ととられかねないので注意してください。

 

結果、最悪のケースとして「作為的・悪意」ととられてしまうと、無申告加算税や、申告期限に間に合わなかったとして「延滞税」の対象となってしまうこともありますし、それ以前に「特例や控除が受けられなくなる」という可能性もあります。

 

ですから、明らかに“基礎控除以内”の場合を除いては、必ず税理士さんに相談して、期限内に申告をしなきゃいけないんだ思っておいてくださいね。

“知らんぷり”はダメですよ!