<相続⑥>相続財産の「評価」は?
今日は「相続」シリーズに戻りますね。
前回、「誰が」相続人となるかをお話ししましたので、今日はその続きとして「いくら」という視点です。
財産をお持ちの方が亡くなると、その財産を「評価」して、評価額の総額を明らかにし、その財産を誰が相続するのかによって、相続税(税総額・相続人個々の負担額)が計算されます。
なので、多岐にわたる財産が「どのように評価される」のかを知っておくことは、税を考えるうえでも、遺産分割を考えるうえでも大切なことになります。
と言っても、インターネット等で検索すると、とんでもなく複雑な解説が延々とでできてしまい、「現実に亡くなられて、財産評価の必要に迫られている…」というケースでなければ、「もうやだ~」って閉じてしまうのがオチでしょうね。
そこで、厳密な評価計算ではなく、あくまでも「概算」というレベルで、自分でできるようにまとめてみたのが下表です。
ここでは、「プラスの財産」を青枠で、「マイナスの財産」を赤枠で表しており、「青枠財産の総額-赤枠財産の総額」が遺産総額になるということです。
では、青色の部分を見ていくと…、
①居住している自宅(土地・建物)の評価は、少々複雑な計算になりますが、まずは毎年の「固定資産税評価額」で見ておけば、その“内枠”でおさまります。
②賃貸アパート等をお持ちの場合、これは自宅の評価とは異なりますが、概算では「固定資産税評価額の70%」程度に考えておけばよいでしょう。
③逆に、「農地・山林」については「固定資産税評価額の2~4倍」で考えておきます。
④預貯金・株式・公社債・信託等の金融財産は「死亡時の残額」で。
⑤家財・美術品・車等は「死亡時の売却価格」で。
⑥中小企業経営者で、非上場の自社株がある場合は、厳密な計算は会社の規模等によって複雑になりますので、とりあえず「貸借対照表の純資産の部総額×持株割合」で考えておけば、その“内枠”でおさまるでしょう。
⑦ゴルフ会員権は「相場価格の70%」で。
⑧生命保険金は「保険金-(500万円×法定相続人数)」で。
⑨死亡退職金は「死亡退職金-(500万円×法定相続人数)」で。
…⑧⑨の「法定相続人数」は、実際に相続する人でなくても計算に入れます。
⑩「生前贈与」を行っていた場合、「亡くなる前3年間分」は、贈与が済んでいるものも再度相続財産に加算します。
⑪「病院の未払分」や、「借金」、「通夜・葬式の費用」はマイナスの財産として引き算します。ただし、四十九日等の法事費用は引き算できません。
…こんな感じで、ザックリとした遺産総額をイメージします。
そして、この総額が「基礎控除=3,000万円+(600万円×法定相続人数)」を超えるとなると、相続税が必要になると考えておきましょう。
(相続税計算については別途詳しくお話しします)
ここまでお話しすると、「面倒くさいな~、黙ってりゃ税務署だって判らないだろう」って知らんぷりする方も現実にいらっしゃるようですね。
では、次回は“知らんぷりしてたらどうなるか…”というお話しをしましょうね。