FPの小ネタ

保険営業に役立つ小ネタ集

法人税②「損金」って何?

前回で「法人とは…」というお話しをしました。

いくつかの名称(株式会社等)をご紹介しましたが、ご理解いただけましたでしょうか。ここで押さえておいていただきたかったのは…、

★法人の種類によって、課税対象になる部分が違う(宗教法人等)ので、そこを理解してから“損金効果”をお話ししないと、とんちんかんな営業になってしまう!

★会社と社長個人、これは別人格であることを忘れないで!

★法人は、その人格を持ち、保険契約者になりうる!

…という点です。

個人市場での営業活動とは比べ物にならないほどの大型契約・高額契約にもなりうるのが法人市場です。

生損保ともに保険営業をするからには、大きな提案を堂々とできるように…という夢を持って臨んでいってくださいね。

 

さて、今日は「損金」という言葉についてです。

法人は、毎年決算をし「売上-損金=利益」という計算のうえで、利益に対して税金を納めます。

では、この税金を出来る限り少なくしようと思ったらどうすればよいでしょう?

利益となる額を減らせばよいわけですから、答えは2つ、「売上を減らす」か「損金を増やす」かの2つです。

とは言っても「税金払うのがいやだから売上を縮小する…」なんていう経営者はいませんね。そうすると「損金を増やす」という方法になるわけですが、そのために“100万円の束を港に持っていって投げ捨てる”ようなことをしたのでは、これもまた意味がありません。

大切なのは「これから将来に渡って会社のためになる損金(=生きた損金)」を使っていくことです。

これは経営者にとってはあたりまえの考え方なのですが、保険営業を行う皆さんに、この考え方がちゃんとあるかどうか…、ここを求めたいと思います。

保険提案をするときに「この保険は全額損金になりますから…」という点だけをメリットとしてプッシュする方がいらっしゃいますが、それで正しいのでしょうか?

確かに、今期損金で落とせることで税金は少なくすむでしょうが、5年後・10年後…、

もっと先になったときに“会社のためになる”提案なのかどうか、そこをしっかりとイメージして、その“絵”を社長さんに見せられるプレゼンのスキルを身に着けてください。

それでこそ「今の効果・将来の効果、そして全体の効果」という構図を示すことができるというものです。

 

保険営業という観点からのお話しに先走りましたね。

お話しを戻して、「法人の損金になるもの」を列記しておきましょう。

①原価

…文字通り「商品の原価」です。ただし、“損金になるのだから、今期の決算駆け込みでこれから数年先までの原材料を仕入れておこう…”というのはダメです。

年度末に残っている商品の原価部分は今期の損金にはなりません。

②費用(販売費・一般管理費・その他の費用)

…会社が事業活動をしていくうえで支払った費用です。電気・ガス・従業員の給与等がここにあたります。

③損失

…ただし、費用支出したもの・損失計上したものの中にも「税務上の損金にならない」部分がありますので注意が必要です。

例えば…、

★役員給与=毎月同額の「定期同額給与」は損金としてOKですが、利益が上がったから役員報酬を大きくした…というのは損金にできません。

★接待交際費=課税逃れのために意図的にここを大きくするということが可能になってしまいますので、ここは損金算入の条件は厳しいです。中小企業(資本金1億円以下)の会社では、年間800万円までは全額損金算入が可能です。

★寄付金=これも接待交際費と同様に意図的な操作が可能になってしまいますので、慈善活動等、一定の金額までが損金算入という制限があります。

★税金=固定資産税・自動車税・法人事業税など、損金にできるものもありますが、法人税・法人住民税・ペナルティ課税(延滞税・加算税)などは損金にできません。

減価償却=高額な機械や車両を購入した場合、購入年度にまとめて損金にするのではなく、耐用年数に応じて分割して損金算入をしていきます。

★未払金=支払いが決算をまたいでしまうものですが、債務が成立している・金額が合理的に算出できる等の条件をみたしたものだけが今期の損金に算入できます。

★評価損=固定資産や棚卸資産の評価が下がった場合の損失です。基本的には税法上の損金にはなりませんが、災害による損失など例外的に認められるものもあります。

…こんなものです。

 

逆に、「費用=損金」となるものとして「教育研修費」「研究開発費」がありますが、これらはまさに「将来のための生きた損金」と言えますね。

そして保険料を損金処理でき、将来会社を助けてくれる保険金・給付金になる…という保険料も「生きた損金」になります。

“今の税効果”だけでなく、将来の価値を語れるようであってください。