FPの小ネタ

保険営業に役立つ小ネタ集

法人税①「法人」という生き物を理解してね。

「税」という観点から、「所得税」「住民税」とお話ししてきましたが、今日からは法人税に進めていこうと思います。

法人市場で営業活動をし、各地で経営者の皆さんのところに伺い、保険の“法人契約”をご提案している方は多いと思います。

では、皆さんはきちんと法人を理解し、個人と法人の違いを踏まえた活動をなさっていますか?

生意気な言い方になったらご容赦いただきたいのですが、この区別が曖昧なままで、ただただ提案書を配っている…という方はいらっしゃいませんか?

よく「損金になりますから…」という一点だけで営業トークを組み立てている方がいらっしゃいますが、それでは社長さんの心には響かないですよ。

お客様である、その企業の現状を把握し、将来の発展に向けた正しいコンサルティングを行うという姿勢が伝わってこそ、社長さんの「購入しよう」という判断につながります。「法人税」シリーズ、ここから数回にわたると思いますが、単に税の損得ということではなく、社長さんに「経営のヒント」をお届けするための知識向上という位置付けて読み進めていってくださいね。

 

では、第1回として、そもそも「法人」という生き物を理解していますか?というお話しをしておきます。

「法人」に対する言葉が「自然人」となるでしょうか。私たちは一人一人が生まれて・育ち、いつか死ぬまで、自己の意思を持って生涯を過ごします。これが自然人ですね。

では「法人」はどうでしょう。会社が登記された瞬間に生まれ、日々の営業活動とともに成長していきます。

ただ、自然人との大きな違いは①寿命がない・②意思決定が一人の判断ではない、という点です。

確かに、法人であっても倒産という形で命を終えるということはありますが、これは私たちの寿命と違いますから、場合によっては“永遠に生き続ける”という法人があってもいいわけです。

そして、意思決定については「会社」と「社長」は同一ではないということを理解してください。

中小零細企業になるほど、社長自身がこの区別を考えないケースは多くなり、お財布の考え方も“会社の財布も社長個人の財布も区別なし…”という方は現実にいらっしゃいます。

「私財は全て経営に投入する…」という社長さんにとってはいたしかたないのかも知れませんが、そのままでは本当の会社の姿・会社のあるべき姿が見えなくなってしまい、気が付くと会社も社長も共倒れ…、なんて悲劇にもなりかねません。

皆さんにとっても同様です。

会社にとって必要な保障なのか、社長個人にとって必要な保障なのか…、

会社・社長、だれの財布から保険料をいただき、だれの財布に保険金を支払うのか…、

会社・社長、だれの税務にどんな影響があるのか…、

こんな区別はしっかりと理解してからお話ししてくださいね。

皆さんが曖昧だと、聞いている社長さんも曖昧になってしまい、お互いにゴチャゴチャの状態で間違った方向に進んでいってしまうかもしれません。

落ち着いて、「これは会社・社長どっち?」という自問自答をしていってください。

 

話しを戻します。

「法人」というと、どんな会社を思い浮かべますか?株式会社・有限会社・合資会社・合名会社・合同会社・学校法人・宗教法人・医療法人・財団法人・NPO法人・協同組合…、思いつくのはこんなところでしょうか?

何点か、覚えておいていただきたい点がありますので列記しますと…、

①現在は「有限会社」という定義はなくなりました。今の「有限会社」は、「有限会社という屋号の株式会社」という位置づけです。

②「出資した範囲で責任を負う」という有限責任である株式会社に対し、無限責任となるのが合資会社合名会社合資会社には有限責任社員無限責任社員あり)です。

③株式会社では、出資者に対し、生み出した利益を「出資割合に応じて配分」しますが、「貢献度に応じた配分」ができるのが合同会社です。

④宗教法人等の「非営利法人」では、本業に対しては法人税は課されませんが、本業以外の営利事業部分に対しては課税されます。

…この4点がすべてというものではありませんが、保険営業を行う皆さんにとっては、最低限これくらいのことは踏まえたうえで【名称は違っても、法人と言う生き物であることには変わりないんだから、法人契約の提案対象になりうる】ということを考えていただきたいと思います。

「株式会社には営業に行くけど、聞いたことのない種類だから避けておく…」のでは情けないですよ。

全国には約360万社の法人があり、その大半である358万社が中小企業です。

そして、その3分の2が本業としての営業利益で黒字、3分の1が赤字というデータもあります。

数多くの顧客となりうる法人市場です。

税務・財務・景気動向等の正しい知識を身に着けて、堂々と自信をもった提案ができるよう、しっかりと勉強していってください。