FPの小ネタ

保険営業に役立つ小ネタ集

所得税①「税」に関する言葉は正しく使って!

これまで、社会保険社会保障を知ることで、自助努力の必要性を明確にし、日々のアプローチトークにワンポイント加えていくことをお話ししてきました。

社会保険は毎年少しづつ改正されて、新たなもの・数値の変わるもの・無くなるもの等、変化しています。

ここは「誰よりも早い情報提供」ができるよう、新聞・テレビ等でのニュースには関心度高く持っていてください

 

さて、今日からは「税」を切り口に考えて、その仕組みを理解するとともに、出来る限りの活用法を考えていきましょう。

「税」については、企業を相手に営業をしている方はもちろん、個人を相手の場合でも大切な要素ですから、“私はパス…”なんて思わないで、じっくりと身につけていってください。

では、第1回は「税の大きな仕組みと、言葉の整理」をしておきましょう。

 

「税」と一言でいっても、所得税・住民税・法人税相続税…などなど、沢山あって「もうやだ~!」ってなりそうですね。

でも、大きな仕組み(=幹)から考えていくと、その先の小さな部分(=枝)が見えてきます。逆に、「枝」ばかり気にしていくと、気が付いたら大きな「幹」が折れてしまうということにもなりかねません。

落ち着いて、「幹⇒枝⇒葉」の位置づけを意識していくことが理解の早道だと思います。

 

まず最初に所得税から考えていきますね。

私たちは、憲法に定められたとおり「納税」という義務を持っています。「所得に応じて納税する…」という大きな仕組みは、皆さん異論はないことと思います。

ところが、ここから細かい話に進めていこうとすると、皆さんが使う「言葉」がだんだんと曖昧になり、「話す側と聞く側が別のことを描いてしまっている」という光景をよく目にします。

それでなくても、お客様は“自分に都合の良い理解”をしたいわけですから、ここに誤解が生じているのを気づかないで進めていってしまうと、どうにも収拾がつかなくなってしまい、皆さんへの「信用・信頼」という姿からも遠のいてしまいます。

そうならないためにも、使う言葉は正しくあることが大切です。

なんとなく・ボンヤリと覚えた言葉だと、使う時もゴニョゴニョっとなってしまうものですから、安易にスルーさせないで、ちゃんと理解していきましょうね。

 

まず最初に押さえておきたいのが、「収入と所得」「売上と利益」「所得控除と税額控除」「総合課税と分離課税」です。

「売上と利益」というのは個人の所得税にかかわる言葉ではなく、企業の法人税に関する表現ですが、所得税法人税の同位置にあたる言葉ですから、ここで押さえておきますね。

所得税法人税」の仕組みを図にすると…、

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…個人にとっても、法人にとっても税を計算して納めるまでの流れは同様です。

個人に対して「損金」と言ったり、法人に対して「所得」と言ったりするのは、間違っているとまでは言いませんが、誤解を招く原因にもなりますから、やはり整理して使い割れたほうがよいでしょう。

 

さらに、「所得控除」と「税額控除」は引き算をする過程が異なりますから、ここは要注意です。引き算の順序を間違えると、答えも違ってきてしまいますからね。

 

そして、できることなら「納める税額」は可能な限り小さく、手元に残るお金は大きくしたいですよね。

もちろん、「収入」を大きくしていけば手元に残るお金も大きくなるわけですが、図の「所得控除」「税額控除」が大きくなれば、収入が同じだとしても「税額」は小さくなり、結果として手元に残るお金は大きくなります。

もし、使える「所得控除」「税額控除」があるのに、それを知らないために使わなかったとしたらもったいないですね。

皆さんの大切な役割として、「最新のお役立ち情報をタイムリーにお届けする」ことがあります。

この「所得控除」「税額控除」は数も多く、改正されることも多いものですから、最新の取り扱いを、正しくお伝えしていってください。

 

そしてもう1点、私たちの「所得」はいろんなところから発生しますね。

自分で商売をしたもの、会社勤めで得る給与、不動産を貸していて得る賃料、株の売買益…、まだまだ、同じ1年間のなかでもいろんな「所得」があります。

この所得を「一つにまとめて税計算する」のを「総合課税」と言い、逆に「他の所得とは区分して税計算する」のを「分離課税」と言います。

どちらが得なのか・損なのかという比較はできませんが、確実に言えることは「分離課税の場合は、その年の他の所得の大小を気にする必要がないので、分離課税部分だけで事前に税額を把握できる」というメリットがあるということです。

一番イメージしやすい例が「退職金」です。

これは数十年後の退職金でも、最後の年の給与がどうなっていようとも、税率が変わらない限り今のうちから税額そして手元に残る額まで計算できるわけです。

 

では、次回は「所得控除」「税額控除」のいろいろを整理していきましょうね。