介護⑦最近の改正点、そして今後はどうなる?
「介護」テーマの最終回です。
公的介護保険は2000年のスタート以降、「3年サイクル」での制度見直しが行われています。“見直し”というのは、即ち法律の改正ということですから、この3年という期間の中で、状況把握⇒課題整理⇒改正案の作成⇒国会審議⇒改正という流れが繰り返されているわけですね。
直近では2018年、次回は2021年ということになります。
ここでは、直近の改正ポイントを抜粋して紹介し、次回の改正に向けてどんな方向にあるのか…、そして最後に、保険営業を仕事としている皆さんが、お客様にどんなアドバイスをしていくべきか、こんなお話しです。
★2018年の改正ポイント(抜粋)
①所得に応じた「自己負担割合の改正」が行われました。
…社会保障制度として将来にわたって維持継続していくために、現役並みの所得のある方には自己負担を大きくするというものでした。
図にするとこんな感じです。
「3割負担」となる区分が加わったということですね。
年金収入等で340万円以上というのは相当高額収入であり、厚生労働省の試算では3%程度の方ということですから大半の方にとっては“今までどおり”ということです。
②「介護医療院」の創設
…これは以前にもご紹介しました介護施設の一つです。
社会保障制度として「医療」があるところに、時代の流れとともに「介護」が加わりましたね。この医療と介護、制度としてはそれぞれに独立したものであり、根拠となる法律や、母体となる保険制度が異なります。
でも、利用する側にとっては明確な線引きは難しいですよね。
これまで、介護施設の一つとして「介護療養病床」という施設がありましたが、より介護色を強くし、スタッフの人数要件・面積要件などを手厚く充実させたのが「介護医療院」とお考えいただけばいいかな。
当初の21施設(2018.6時点)から1年間で223施設(2019.6時点)に増加しています。
★2021年改正への方向性
…これは2021年改正だけのことではありませんが、国は「自助・公助・そして共助」という姿を目指しています。
介護が必要だからといって、なんでもかんでも公けな機関が介護するというような“公助”では限界がありますね。まずは“そうならないための予防”・“出来る限り自立”というような“自助”が必要です。
そしてそこに、“地域で支えあう共助”という環境を築くことで社会保障制度の維持・発展を目指しています。この方向性は2021年改正でも同様でしょう。
そうすると、国のお金の使い方としても、「予防」をすすめるためとか、「地域サービス」を充実させるとか、そういった内容が中心になっていくと思われますね。
★保険営業スタッフとしてのあり方
…偉そうな言い方になってしまいますがお許しくださいね。
これから先、2025年問題に向かって「高齢者介護・高齢者医療」はもっともっと身近で切実な問題になっていきます。
今、現役世代である30代・40代・50代という皆さんが「僕たちの頃には制度もパンクしてるだろうから…」なんて諦めのイメージを持たれているという感もありますね。
でも、そんなお客様に対して、皆さんの仕事は、
・社会保障の知識、情報を正しく伝える
・そのうえで、社会保障ではカバーできない部分を明確にする
・不足部分の解決策として適切な商品、適切な額を提案する
・契約後のお客様の環境変化に応じて、随時アフターフォローする
…ということです。
介護だからといって、介護保険だけがすべてだとは思いません。老後を安全に・安心して・快適にすごすためですから、資産運用商品も大きな力になります。
商品に限らず、しっかりと勉強してください。「社会保険の知識」「お金にまつわる税制」「投資運用策」「景気環境」「老後に関係する法律」などなど、親身になってアドバイスできる知識とスキルを身に着けることが、信頼される近道です。