FPの小ネタ

保険営業に役立つ小ネタ集

<号外>「終の棲家」をどう考える?

今日は「介護」シリーズの号外編として「終の棲家」について考えてみたいと思います。

総務省の調査で「持ち家保有率78%」というデータがありました。

私たちが子供のころには「夢のマイホーム」なんて言葉もありましたが、みんな頑張って働いて、夢を手に入れることができたということですよね。

よかったよかったと言うべきなんでしょうが、“その先”を考えると、そうも言ってられないのではないでしょうか。

私自身、広島市とはいっても随分と山の中、造成した住宅団地に建売を買って住んでいますが、決して便利な立地ではありません。

同じ団地にも多くいらっしゃいますが「ちょっと病院に行くにも車が必要、でも夫婦とも高齢になって、車は車庫に置いたまま、病院にもバスで1時間かけて行く…」というようなご家庭、我が団地に限らず、日本中に沢山いらっしゃるでしょうね。

頑張って築き上げた財産、愛着ある我が家、執着したい気持ちはわかるのですが、老後を『安全で・安心して・楽しく』暮らすという姿を考えたとき、ここは耳をふさぐのではなく、何か新たな道というのも探してみる価値はあるんじゃないでしょうか。

 

ここで3つのご紹介をしてみたいと思います。

「これがベスト」という意味ではありません、皆さん状況も・お考えも違うわけですから、誰もに最善ということはありません。

「なるほど、そんな選択肢もあるのか…」という程度にとらえていただければ結構です。

 

①「サ高住(サービス付高齢者向け住宅)」

これは、名前のとおり高齢者(基本60歳以上)のための賃貸住宅です。バリアフリー設計で、介護が必要となったときにもすぐにサービスを受けられるよう、配慮されています。

「介護付有料老人ホーム」の場合は、最初に高額な入居一時金が必要なところが多いですが、「サ高住」の場合は一般的なアパートと同様に数か月分の敷金程度で入居できます。

一人暮らしのケースばかりではなく、夫婦2人でという設定もありますから、生活に便利な立地条件で、環境も良く、費用(家賃)も手ごろ…という物件であれば、少々狭くはなっても、安心・便利・快適を得る価値はあるのではないですか?

 

②「リバースモーゲージ

これは、一言でいうと“住宅を担保とした融資”です。

「ようやく住宅ローン済ませたのに、また借金なんて…」と思われる方もあるでしょうが、まあ落ち着いて考えてみてください。

日本人の個人資産を見たとき、土地・建物等不動産が69%、預金等の金融資産が29%、その他が2%というデータがあります。

確かに「財産といえるものはマイホームだけ、老後の生活資金としての現金に不安ある」という方は多いのではないですか?

そこで病気・介護とお金が必要になったとき、現金化できる財産は家だけど、すぐにはできないし…、というケースに対応するのがリバースモーゲージです。

これは、住んでいる家・土地を担保にして「枠」を設定し、カードローンのように使った分だけ借りていくという姿です。そして返済は利息部分のみ、元本部分は亡くなったときに不動産を処分して返済するというものです。

「子供たちは既に自分の家を持っており、ここに帰ってくることはない」という場合は、こんな方法で“使えるお金”を確保しておくことも一考です。

私もこの仕組みは素晴らしいと思うのですが、扱う金融機関が少なかったり、対象となるエリアが都市部に限られていたりという問題もあります。

金融機関の皆さん、需要はあると思いますので、ぜひ間口を広げていただきたくお願いしたいです。

 

③「ハウスリースバック」

前述のリバースモーゲージは、家は自分の財産のままでしたね。それに対しハウスリースバックというのは「家を売って、そのまま賃借人として住む」という姿です。

「売る」わけですから、その時点で“まとまった現金”を手にすることができますので、病気・介護に対する費用はここから賄います。そして今度は家賃が必要になってきますが、これも最初の現金から支払っていきます。

売ったからといって、新たな住まいを探して引っ越しする必要がないという点がポイントですが、もうひとつ「固定資産税がいらなくなる」というのもポイントです。

先の例と同様に、子供が引き継ぐことのない家だとすると、亡くなった際の処分についても相続財産ではないので面倒がなく、それまでの固定資産税がかからないというのも累積すると大きなメリットだと思います。

ただ、これも扱う業者は少なく、評価計算もなかなか厳しい額になるようですので注意は必要です。

 

老後を安心・快適にどこで過ごすのか、そのための資金はどう作るのか…、これは自分だけでなく夫婦で・家族で話し合っていかなければなりません

「誰も・何も考えず、あるがままに過ごして…」というのではなく、選択肢として知っておくことが大事だと思いますよ。