<老老相続②>「老老相続」って何?
昨日に引き続き、今日も財務省資料からピックアップしてご紹介しますね。
私たちが暮らす日本、世界有数の経済大国であり、好景気・不景気を経験しながら、日本人の気質というべき勤勉実直さによって成長してきました。
そして医療の進歩を重ね、これまた世界一の長寿国にもなりました。
では、皆が長生きして、国全体が豊かで幸せな国になっているでしょうか?
その実感はないですよね。
テレビの映像なんて見ていると、ヨーロッパの小さな国で、高齢者が本当に幸せそうで、おしゃれに暮らしている姿がありますが、“日本よりよっぽど豊かだな~”って感じるのは私だけでしょうか。
今、課題視されているのが「個人資産は高齢者に偏っており、その資産は塩漬け状態で、若い世代に回っていない」と言われていますよね。
今回の資料にも…
…こんな図がありました。
50歳代までの若年層では、この約30年の間で金融資産は若干減少していますが、その反面で60歳代以上の高齢者層では2倍以上に増えています。
特殊詐欺のニュースなんて見ると「そんなに持ってるの!?」ってビックリしますが、確かにそうなのかもしれませんね。
バブル崩壊後、不動産神話が崩れ、土地の値段は大きく下がりました。今は持ち直しつつあるとも言えますが、それでも個人資産の構成は“不動産➡金融資産”にシフトしているようにも思います。
…これは資料のグラフから数値だけ抜き出したものですが、相続時の財産を見ても、既に金融資産のほうが逆転して大きくなっているんですね。
では、この資産・財産を大事に大事に抱えて、使うことなくそして譲ることなく持ったまま最期を迎えたら…、
…これは“亡くなった方”の年齢を見ているわけですが、この30年の推移を見ても、“高齢になって亡くなっている”ことがわかりますね。
そうするとどうなるか…、
80歳を超えて亡くなるとき、相続人となる“子”は50~60歳代でしょう。
そう、「相続人も既に高齢者」になっているわけです。
既に子育ても終えて、定年後の「収入は少なくなっても、年金で夫婦静かに暮らしていこう」というところに相続財産がポンと入ってくるわけです。
使う? 使わないでしょうね。
1円も手をつけることなく、まじめに相続税を納めたうえで、これまた大事にとっておくわけです。
これが「老老相続」!
これでは、その下の世代が、教育・子育てでお金に困っていても回ってはきません。
分厚い扉のむこうにあるお金だけが増えていき、日々の生活は厳しいままですね。
今回の資料も、ここを問題視しており、“いかにして現役・若年世代に循環していくか…”、そのための法改正が必要だとしています。
「老老相続」という言葉、今後いろんなところで見かける言葉になるかもしれませんね。
では、次回は今後考えられる法改正等の方向をみていきましょう。