死亡③サラリーマンが亡くなったとき…
昨日の遺族基礎年金に続き、今日は「遺族厚生年金」についてお話しします。
会社勤めで厚生年金に加入している皆さんは、“老後には基礎年金と厚生年金の2階建ての年金”になるということはご存知ですよね。
もし、途中で亡くなられた際も同じように「遺族厚生年金+遺族基礎年金」の2階建てになることを、まずは理解してください。
そして、「遺族基礎年金は家族構成によって決まる金額」、「遺族厚生年金は報酬額によって決まる金額」なんだということを理解してください。
2階建ての1階部分である遺族基礎年金については昨日お話しした内容と同じですから、「子・子のある配偶者」への年金であって「子のない配偶者」にはないということを忘れないでくださいね。
さて、2階部分にあたる遺族厚生年金についてです。
まず1階部分と大きく違うのが、「子のない配偶者」にも年金給付があるという点です。
非常にザックリとした言い方ですが、「遺族基礎年金は子供のため」「遺族厚生年金は配偶者のため」とイメージしておいてもいいでしょう。
そして、もらえる人の要件として「亡くなられた人によって生計を維持されていた」という一言がつきますので、例えば夫婦共働きで「奥さんの年収850万円以上」というような場合には“生計維持”とならず、遺族厚生年金は受けられませんのでご注意ください。
では、遺族厚生年金の計算はどうなのかというと…、
…これが計算式です。
これを見た瞬間に「あ~めんどくさい」って閉じてしまわれそうですが、ちょっと待ってくださいね。
A・Bの計算はまさに老齢厚生年金額の計算式ですから、大切なのは「×3/4」という部分です。言葉にすれば「老後にもらえるはずだった年金の4分の3なんだ」ということです。
毎年ご自宅に「ねんきん定期便」が郵送で送られてきますよね。そこに書かれている額の3/4と電卓入れればざっくりとイメージできますよ。
とはいうものの、やはり事例で見ていただいたほうがイメージしやすいでしょうから、昨日の家族と同じ構成で見ていきましょう。
※図の遺族厚生年金額は「平均標準報酬額30万円・30年加入」で試算しています。
初めて出てきた言葉として「中高齢寡婦加算」がありますが、これは「遺族基礎年金がなくなってから、自身の基礎年金が始まるまでのつなぎ」とイメージしてください。
昨日の図には「寡婦年金」がありましたが、この中高齢寡婦加算があるときは寡婦年金はありません(両方はダメ)。
また、この「妻」が昭和31年4月以前の生まれの場合は「経過的寡婦加算」が65歳から加算されますが、ここでは割愛しました。
いかがでしょうか、月10万円~14万円…、これだけで充分とは言えないかもしれませんが、昨日の遺族基礎年金だけのケースよりは随分大きくなりますね。
そして「遺族厚生年金は、妻の生涯ずっと支給される」という点も注目ですね。
※ただし、この妻が再婚すると遺族厚生年金はもらえなくなります。この再婚は事実婚の場合も同様ですから注意が必要です。
図の例では、妻自身の老齢基礎年金が始まる65歳まで20年間、累計すると約2,800万円の遺族年金総額となりますから、これは大きな支えです。
個人での生命保険をご提案する場合にも、この遺族年金をきちんとお話しして、さらに不足すると思われる額の提案をしていってください。
“負担できる保険料から逆算して保険金を設定する”なんてことはしないでね。