FPの小ネタ

保険営業に役立つ小ネタ集

死亡②自営業者が亡くなったとき…

 


では、ここから「遺族年金」についてお話ししていきましょう。

遺族年金って、言葉にするのは簡単なのですが、その「内容・金額・条件」などをきちんと解説しようと思うと、これがまた大変なのです。

亡くなられた人、遺族となった人、それぞれの状況によって変わっていきますので、本で読んでも「ん~、面倒くさい、や~めた」って閉じてしまわれているのではないでしょうか。

ここでは、できるだけわかりやすく、事例によってお話ししますので、ケースによってはこの事例とは違ってくるということをご理解くださいね。

 

まず最初に押さえていただきたいのは、「亡くなられた人が国民年金なのか厚生年金なのかによって異なる」という点です。

亡くなられた方が国民年金ならば「遺族基礎年金」

亡くなられた方が厚生年金ならば「遺族厚生年金」+「遺族基礎年金」

…ここはよろしいですね。

 

まず今日は「遺族基礎年金」をと思いますので、亡くなられた方は自営業だったり農家の方だったりということです。

遺族基礎年金について覚えておいていただきたいのは、

【子のある配偶者・子に支給されるものなので、子のない配偶者には支給されないという点です。

ここでいう「子」とは、単に子供の有無ということではなく、「18歳(高校卒業)まで」のことですから、子供はみんな成人しているという場合には「子のない配偶者」となりますからご注意ください。

年金額については780,100円+子の加算】です。

子の加算額は【第1・2子=224,500円、第3子以降=74,800円】です。

この780,100円という金額は、“満額支給の老齢基礎年金”の額と同じですから、言うならば「ご主人が老後にもらうはずだった基礎年金を支給しましょう」というところでしょうか。

文字ばかりでは頭が痛くなってしまうでしょうから、事例で見ていただきますね。

f:id:takamisan:20200226185317p:plain

夫婦+子供2人の自営業者が50歳で亡くなり、3人の遺族が上の図のような年齢構成だったという場合です。

国民年金保険料は夫婦ともきちんと納めているということが前提ですよ)

 

まず、長男が高校卒業するまでは780,100円+224,500円+224,500円=1,229,100円です。

長男が高校卒業すると加算が減り、780,100円+224,500円=1,004,600円になります。

そして長女も高校卒業すると、妻は「子のない配偶者」となるので遺族基礎年金はなくなります

ただし、この家族の場合には、妻が60歳になると寡婦年金」として「夫の老齢基礎年金の3/4」が支給され、65歳になると自分自身の老齢基礎年金に移行していくという感じです。

図には月額でイメージを書きましたが、家族の生活資金としてはどうでしょうか?

子供の教育にお金がかかる時期、月に8~10万円ということですから、これだけでは難しいでしょうね。妻としては引き続き自営業を続けるか、勤めにでるかという姿が必要でしょうね。

ただ、図の遺族年金を累計で考えると約1,800万円になりますから、強い支えであることには間違いありません。

 

また、図のケースとは異なりますが、「息子は自営業で、独身のまま若くして亡くなった」というような場合、息子さんには妻も子もいないわけですから遺族基礎年金は支給されません。そんな場合に支給されるのが【死亡一時金】です。

これは文字どおり一時金であり、父母・祖父母・兄弟姉妹などの遺族に支給され、その金額は、国民年金保険料を納めた期間によって、12万円から32万円と異なります。

 

少しだけ、注意ポイントを書いておきますと…、

が18歳未満であっても結婚している場合は、遺族基礎年金の対象にならない

再婚し、も再婚相手の養子となると、遺族基礎年金の対象にならない

…という点です。

夫に先立たれ、長い期間のなかでは当然再婚ということもあるでしょう。そんな時に生活の支えとなっていた遺族年金がなくなるというケースですので、注意が必要ですね。

 

遺族基礎年金のすべてをお話ししようと思ったらもっともっとページが必要ですが、ここでは「遺族基礎年金」「寡婦年金」「死亡一時金」…、まずはこんな言葉を知っておけばいいんじゃないでしょうか。

 

では、次回は「遺族厚生年金」についてです。