<老老相続③>早く資金循環をする「特例」を3種
少々日があいてしまいましたが、11月に財務省が公開した資料にもとづいて続けます。
これは、財務省として相続・贈与の現状を分析し、これから将来を見据えたときに、何が問題になるのか、そして諸外国との対比はどうなのかをまとめたものです。
これがすぐに税制改正につながるというものではありませんが、ざっくりと今後の方向性を示唆しているものだと思います。
そしてさらに、財務省という公的な機関が作った資料に「老老相続」という言葉が使われたということにも注目です。
最近では、「老老介護」⇒「認認介護」⇒「老老相続」なんて言葉が生まれています。
介護が切実になっている今、介護される人もする人も高齢者で認知症、さらに亡くなられた際も、高齢者から高齢者への相続になっているということです。
世界一の高齢社会である日本において、どれも切実な問題ですね。
では、「老老相続」を考えた時、何が問題になるかというと、“個々の資産が塩漬け状態になり、資金循環にならない”…という点です。
その下の若い世代では、結婚・子育て・住宅・教育等のお金に困っていても、高額になる贈与税を考えると、祖父母からの支援がしにくく、結果として高齢者の口座の中で塩漬けになってしまうわけですね。
国としては、経済政策の観点からも循環させたいわけで、今も税制上の「特例」という形で支援をしています。
(⇒先日書きました「2021年度税制改正大綱」でも着目しているポイントでしたね。)
では、今ある「特例」制度から、今日は3点ご紹介しておきます。
一表にまとめてみると…
…こんな感じです。
子・孫が教育を受け、結婚子育てをし、マイホームを手に入れるというイベントに、親・祖父母が資金面での支援を贈与税の心配なくできるのであれば、まさに塩漬けとなっている資産を“生かす”ことができるわけです。
表をご覧いただくと、年齢の制限・期限・非課税限度額等、微妙に異なりますから注意しなければなりません。
また、この表だけでは書ききれない注意ポイントもまだまだありますので、詳しくは国税庁のホームページ(下記)でパンフレット等を確認してください。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/01.htm#a-10
“資産を持っている親・祖父母”と、“資金に困っている子・孫”を結び付けてあげる制度です。
知らないままではもったいないですよ!
日頃の活動において、情報提供の一つとしてお使いください。