法人税⑨「キャッシュフロー計算書」を理解する!
財務諸表の理解、ここまで「貸借対照表」・「損益計算書」と続けてきましたが、今日はその続きとして「キャッシュフロー計算書」についてです。
そもそも、この「キャッシュフロー計算書」、あまり耳なじみがないでしょうね。
これは、上場されている大企業には義務付けられているものですが、非上場である中小企業では義務付けられているものではありません。
なので、一般には「貸借対照表」と「損益計算書」で完了するのですが、私も何社かの中小企業さんの決算書で、しっかりと「キャッシュフロー計算書」まで作られていたのを拝見しましたから、皆さんの取引先企業でも作られているところはあると思いますよ。
では、この“3表”、その特色と読み取るべきポイントをきちんと理解しておく必要がありますね。
前回までのおさらいにもなりますが…、
「貸借対照表」は、資金の「出処」と「現在の姿」でした。自前のお金と他人様のお金のバランス、そして流動性の強弱などが読み取れましたね。
「損益計算書」は、年間の「利益」の有無、本業・本業以外・今期だけなど、利益体質の強弱が読み取れました。
ところが、ここで理解していただきたいのが、『企業会計にはタイムラグがある!』という点なんです。
例えば、売掛については、まだお金が入ってきていないのに利益で計上し、買掛は、まだ支払っていないのに経費で計上しています。
さらに、減価償却については、お金が出ていってるわけではないのに、毎年経費計上していますね。
このように、“収支損益“と“現金の動き“が同時ではないので、「決算書では大きな黒字なのにお金がない!」とか、「赤字なのに潤沢な資金あり!」なんて会社が登場してきます。
俗に言う「黒字倒産」なんていうのは、この前者のケースですね。
そこで、損益計算書を作ったうえで、本当の“お金の出入り”を計算し直して、“現金の有無”をきちんと見ていけるようにするのが「キャッシュフロー計算書」です。
そして、この「キャッシュフロー計算書」は3段階の表になっています。
①営業活動によるキャッシュフロー
②投資活動によるキャッシュフロー
③財務活動によるキャッシュフロー
…です。
①は、本業でのキャッシュフローが見えます。
②は、工場の新設とか、機械の購入とか、これから将来のための投資活動に力を入れているかどうかが見えてきます。
そして③は、借金および返済でのキャッシュフローが見えます。
例としてご覧いただくと…、
…こんな感じです。
この会社は…、
・本業できちんとキャッシュを増やし、その分、将来のための投資をしている
・期首よりキャッシュは増やしているが、その大半は借り入れによるもの
…なんてことがわかりますね。
そして、この「営業活動キャッシュフロー」と「投資活動キャッシュフロー」を合計したものを「フリーキャッシュフロー」と言い、『会社が自由に使えるお金』がわかります。
ここがマイナスだったりゼロだとすると、資産の売却や金融機関からの借り入れで会社を維持する必要が生じますし、売掛・買掛のタイミングを変えることでキャッシュフローの改善が必要になってもくるでしょう。