FPの小ネタ

保険営業に役立つ小ネタ集

<働・健②>「働き方改革」を再考すると…

勝手な表現ですが、「コロナ時代の働き方」という視点から、「働き方改革」への対応を見つめなおしてみましょうね。

 

そのために、まずは“コロナ前”に登場した働き方改革をおさらいしておきます。

コロナ前の日本の課題って、何だったでしょうか…。

アベノミクスの成果(ということにしておきましょう)によって株価は安定的に上昇、各企業の決算も堅調なものになってきていました。

でも、その背景では、サービス残業が当たり前のことのように行われ、長時間労働」「過重労働」が積み重なり、“心を病む”労働者が増加するという問題が生じていました。

同時に、高齢化社会が進む中で、老後の生活を支えるための「2千万円不足問題」も注目され、国としても全てを社会保障でカバーすることはできませんから、「自立した高齢者」であってくれることを望み、「高齢者雇用」は強く後押しする必要が生じました。

そこで、現役世代の時間外労働を減らし、有給休暇取得を高めることで前段の問題に対応し、そこで不足する労働力のために、高齢者雇用・障害者雇用・外国人雇用でカバーすることで後段の問題にも対処しようと考えました。

これが働き方改革」の主旨と目指す方向です。

そのためにルール(=法律)によって定めたのが…

20200925173956という点です。

注意して見ていだきたいのが、個々の「重さ」「導入時期」です。

まず、時間外労働については、「月45時間」だけを見ていると「日に2~3時間か、それなら今とそんなに変わらないな…」と思われる方もあるでしょう。でも、その次を見てください、「年間360時間」という第二の壁があり、ここから考えると「日に1.5時間」が上限ということにもなってきます(月20日勤務で計算してます)。

これを“守らせる”のは簡単ではないでしょうね。

今までと違って、罰則規定も設けられるルールですから、軽く考えていたらダメですよ。

さらに、有給休暇取得についてはどうでしょう、「本人が取得しないから…」という言い訳はきかなくなります。「年5日」は取得させることが雇用側の「義務」となります。

これは2019年4月以降にスタートする“計算年度”からですから、仮に“10月から”が年度とすると、2019年10月から2020年9月の間で、最低5日は取得する(させる)ことが必要です。

そして3番目、同一労働同一賃金の考え方ですね。

これは2021年4月からということで、まだ期間があるように見えますが、「きちんと説明できる準備」をしておくためには、決して呑気に構えていてはダメです。

 

ところが、このルールに則って進めていこうとすると、最も障壁となるのは「従業員」です。従業員のために行うことなのに、壁になるのが従業員自身だという、なんともおかしな現象なのですが、実際そうなんですね。

「休んだら・残業しなかったら、困るのは自分だから…」という理由で、社長が旗を振っても実現しないのが現実です。

 

コロナ前、この環境下で働き方改革の導入」に成功している企業は、「抜本的な業務の見直し」を同時に行っているところです

業務の流れの仕組み、会議形態、業務の共有化など…、根本的に見直すことを、従業員を巻き込んで実践した企業が成功した企業です。

 

文字にするのは簡単ですが、「永年こうしてきたから…」「この業界ではこうだから…」というような鎖を断ち切ることは決して楽なことではなく、相当な時間も要します

法対応を“しかたなく実行する”のでは、業績低下につながる危険もありますから、経営者としては“成功企業の事例”を真摯に参考にして、自社で“プラスにできる導入”をしていかなければなりません。

複数の都道府県で「優良企業認定制度」が設けられており、認定企業の事例も公開されていますから、まずはここをしっかりと勉強することをお勧めします。

 

さて、ここまでは「コロナ前の働き方改革」でした。

では、次回は「コロナ後の働き方改革」を考えてみましょうね。