<働・健⑪>軽く考えちゃダメ!「安全配慮義務」
「健康経営」「働き方改革」のお話しから横道に逸れるように思われるかもしれませんが、経営者サイドが忘れちゃいけないことに「安全配慮義務」がありますので、今日はそこをお話ししておきますね。
まず、「安全配慮義務」とは、言葉にするとこうなります。
★企業は、労働者に対して「労働者が安全と健康を確保しつつ就業するための必要な配慮」をする義務を持つ
…ということです。
根拠となる法律は労働契約法・労働安全衛生法等になるわけですが、この「義務」という言葉の重みをきちんと認識されているでしょうか?
そう、会社側の義務ですから、そこに落ち度があったとなると、会社は損害賠償等の「責任」を負うことになりますね。
下の表は、労働問題で訴訟になった事例を抜粋した物ですが…、
感じていただきたいのが、
★働き盛りの年齢層で起きている
★プレッシャー、パワハラ等で心を痛めている
★相当な長時間労働・過重労働が背景にある
★自殺に発展している
そして…
★賠償金は数千万円から1億円という高額になっている
という点です。
これたけ高額の賠償金、中小企業にとってはそれだけで会社の存続を左右するレベルですね。
さらに、表の中で「安全配慮義務違反」という記載(赤文字)に注目してください。
これはもう、会社として言い訳のできない状況だったということの証です。
会社を経営していくうえで、利益を追求し・業績を拡大していくことは当然のことですが、その“求め方”を間違うと表のような悲劇が生じてしまいます。
これは他人事ではありません!
あなたの会社でも、今まさに水面下で進行してしまっているかもしれない事です。
今の時代、従業員が心を病んでしまうことは避けられないことかもしれません。
でも、会社として最低限「安全配慮義務に違反はしていない」という環境作りをしておくことは可能です。
「健康経営」「働き方改革」にしっかりと取り組んでいるという企業の姿勢は、まさに「安全配慮義務」を満たしているということにつながります。
“訴訟に勝つ”ために申し上げているのではありません。表のような悲劇を招かないための方策として、「“守りの”健康経営・働き方改革」という意義が、ここにあるわけです。
コロナ禍での会社経営も同様です。
会社としての感染防止対策が不十分という状況で、従業員・下請業者・顧客等が感染してしまった場合、業務起因性が認められて労災認定となることも充分に考えられます。
感染者の少ない地域であっても、規模の小さな企業であっても、いつ何時クラスターとなってしまうかはわかりません。
そうなってしまったとき、マスコミ・クチコミで「あそこは何もしてなかったんだって」と言われるのか、「あそこは万全の対策していたのにね」と言われるのか、その後の企業イメージを大きく左右することになりますよね。
そのための「目に見える契機」として、健康経営・働き方改革に取り組むという経営者の姿勢は重要だと思います。