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保険営業に役立つ小ネタ集

医療④「先進医療」と「患者申出療養」を知る

前回“保険給付の対象とならないもの”として美容整形などと書きましたが、今回はもう少しここを深掘りしていきますね。

 

まず、そもそも健康保険の対象となる治療は、厚生労働省で定められた(=認可された)治療であることが前提です。安全な治療を提供するということが主旨ですね。

でも、新しい医療技術・治療法の開発が進んでいくと、厚生労働省の定めにない治療を受ける(受けたくなる)場合も生じます。

この場合、健康保険の対象となる治療と、対象とならない治療を、混在した状態で受けることはできるのでしょうか?

本来、答えはNOです

このようなケースでは、『健康保険の対象となる治療も含めて、全てが自己負担』になると考えてください。

自由診療と呼ばれるのがこのケースです。

 

でも、これでは“最新の治療”等を受けることが難しくなってしまいますよね。

そこで厚生労働大臣の定める「評価療養」「選定療養」については、保険診療保険外診療の併用が認められており、保険外診療の部分のみを全額自己負担すれば良いという仕組みになっています。

 

この評価療養に属するのが、皆さんの仕事にも大きく関係する「先進医療」です。

先進医療については、厚生労働省がその治療・医療機関を定めているもので、2020年1月現在87種の治療があります。

日々進化する医療において、最先端の医療として先進医療を受ける際に、

「保険適用にならない医療を受けるのだから、本来保険適用となる部分も含めてすべてを自己負担で受ける」

…となったら大変高額な負担を求められることになりますよね。

そこを、下図のように「先進医療部分は全額自己負担、保険適用部分は3割負担(さらに高額療養費制度対象)」としてくれるのですから、とてもありがたい制度です。

 

そしてさらに、以前は『保険適用となる治療+国が定める先進医療』という構図でしたが、ここに2016年加わったのが「患者申出療養」です。

これは、先進医療と同様に保険適用とはならず全額を自身で負担するというものですが、先進医療は国が定めるのに対し、患者申出療養は医師のアドバイスを受けたうえで、未承認の薬などの使用を、患者自らが申し出て行うというものです

新たな治療法(薬)が先進医療として指定されるまでには相当の期間がかかりますが、患者申出療養であれば申請から数週間で受けられるというメリットもあります。

  

費用負担を図にすると…、

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…となります。

 

ありがたい仕組みであることは確かなのですが、先進医療・患者申出療養については高額療養費の給付対象にはなりませんので、図の例である「自己負担100万円」部分が高額になっていくと、自己負担の重みは更に増していくことになりますね。

 

では、次回はこの「先進医療」について、そして「高額療養費」について詳しく見ていきましょう。