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医療⑧強い支え「高額療養費制度」!

 


今日は「高額療養費」について解説していきましょう。

これまでも既に登場しているのですが、この高額療養費制度は本当にありがたい制度ですのでしっかりと知っておいていただきたいと思います。

 

そもそも、健康保険は療養の給付として、かかった医療費の70%を負担してくれるのですから、この段階ですでに強い支えだと言えますね。

でも、医療費自体が数十万円・数百万円という高額になったら、いくら30%負担とはいっても大きな負担になってきますね。

そこで“さらにもう一度”支えてくれる制度が高額療養費制度です。

例として図にすると…、

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医療費として100万円かかったが、健康保険が70万円負担してくれて、さらに高額療養費制度が212,570円カバーしてくれた(図の緑色の部分)ので、最終的には87,430円の自己負担となった…という例です。

いかがですか?

100万円の医療費に対して9万円弱の自己負担ですから、10%を下回る負担だったということですよね。

そしてこれを1カ月の30日で割り算すると、1日あたり3,000円弱だったということです。

確かに、いざ入院となったら、病院にかかる医療費以外にもいろいろな雑費が必要になりますが、医療保険をお勧めする際の設計根拠には、この高額療養費制度もきちんと考慮した提案をしていってあげてほしいと思います。

 

この“強い支え”高額療養費制度、注意しておかなければならない点を列挙しておきますね。

①月単位(1日から月末)で計算します!

…1カ月の「自己負担上限額」を計算し、それを超える部分を高額療養費制度がカバーしてくれるのですが、同じ30日の入院期間でも「1日から30日」の場合と「15日から翌月14日」の場合では異なることに注意してください。

 

②年齢や所得によって異なります!

…上の図の例は「年収約370万円~770万円」の方の計算です。収入がもっと大きな方の場合は最終的な自己負担は例よりも大きくなります。

…70歳以上になると、外来だけの自己負担上限額も設けられています。

 

③世帯での合算ができます!

…お一人の医療費では自己負担上限を超えない場合でも、同じ世帯で他の方も医療費がかかった場合に、世帯で合算して計算してくれます。

…ただし、この「同一世帯」とは“同じ医療保険に加入している”方ですので、例えば夫婦共働きでそれぞれに健康保険に加入している場合は同一世帯とはなりませんので合算の対象にはなりません。

 

④多数回(過去12カ月間に3回以上)上限額に達した場合は、4回目から自己負担上限額がさらに下がります。

 

⑤事前に「限度額適用認定証」を提示することで、窓口での支払いの際には自己負担上限額の支払いにすることが可能です。

…高額療養費制度は、本来は“一旦30%部分の支払いをして、後日高額療養費の請求をして還付してもらう”という仕組みですが、これには約3カ月程度かかります。

そこで、事前に加入の医療保険から「限度額適用認定証」の交付を受けて、病院に提出しておけば窓口での支払いの際は上限額の支払いでOKという制度もあります。

 

⑥高額療養費の対象となるのは“保険適用”の医療費です!

…以前にも書きました「先進医療」・「患者申出療養」や、「差額ベッド料」は高額療養費はカバーしてくれません。

 

上記は相当簡略化してお話ししていますので、詳しくは厚生労働省のホームページなどで確認してくださいね。

 

今日お話ししました「高額療養費」、これを知らないでお客様に医療保険のお勧めをしたのでは、逆にお客様から「だって高額療養費があるじゃない…」て言われてしまいます。これでは提案の説得力もなくなってしまいますよね。

高額療養費まできちんと加味して、本当に補完すべき保障を、根拠を持たせて提案していってください。

それでこそ、信頼されるセールスです。