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【事業承継⑧】「M&A」ってどうなの?


「事業承継」テーマも第8回、今日はM&Aについてお話しします。

M&A」と聞いて、なんとなく“危険”なイメージを持たれる方は多いのではないでしょうか。「乗っ取り・買収・切り売り」…なんてね。

でも、正しく理解して、正しく使っていくことができれば、経営者にも・従業員にも・取引先にも・顧客にもメリットのある策であり、実際に毎年の実績(件数)においても増加しているんですよ。

図①…全国のM&A件数の推移

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図②…中小企業におけるM&A件数推移

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上の図は、ともに中小企業庁がインターネット上で公開しているグラフです。

①は大企業も含めた全体像、②は中小企業での推移ですが、M&Aの件数を詳細に集計することは難しく、特に中小企業については取り扱い件数の多い事業者3社の実績でまとめた物です。

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では、改めてM&A」とは何なのか、そしてその注意点についてまとめてみますね。

★「M&A」とは…

①「M&A」という言葉は、合併(Merger)と買収(Acquistion)の頭文字をとった言葉です。

②親族や社内に後継者がいない場合、「合併」「株式の売却」「株式の交換」等によって、会社が“生きている”ままで、新たな経営者に譲ることです。

③会社と会社の「縁談・お見合い・結婚」のように考えてください。どんな相手で、仲人は誰で…というようなことが「M&A」でも大事なことになってきます。

 

★「M&A」の注意点…

①良い相手との縁談に繋げるためには、まずは自社を「磨き上げる」ことが大切です。

そのポイントとしては…、

  ・業績の改善

  ・無駄な経費支出の削減

  ・貸借対照表をきれいに=不要な資産の処分、負債比率の改善

  ・自社の「強味」を明確に

  ・株主の整理  …などが考えられます。

②縁談が成立するまでは、「秘密保持」が大切です。役員・従業員・取引先等の関係者にも漏らしてはダメです。

③仲人となる事業者の選出には注意が必要です。上記に3社を紹介しましたが、それ以外にも多くの事業者があり、得意な業種・得意な地域・仲介費用など、それぞれに異なります。事前に調べていくこと、商工会議所等の信頼できるアドバイザーの意見を聞くこと、…慎重に進めていくことが肝心です。

 

ここで、以前にもこのブログでご紹介したことがありますが、事例として再度お話ししておきます。

私が大阪にいたころ、兵庫県内の税理士さん(女性)と仕事でご一緒することがありました。

まだまだ税理士としてスタートしたばかりで、ご自宅を事務所にして顧客開拓を進めているところでしたが、お話しを聞いてみると、この先生ご自身が「M&A」の経験者だったのです。

ご実家は古くから続くお醤油屋さんであり、それほどの規模ではないものの、「歴史」とともに「経験・職人・顧客網」という磐石な強味がありました。

ところが後継者がなく、当時の経営者のお孫さんである彼女が、脱サラして一度は引き継がれました。

会社としての経営状態は悪くはなかったのですが、全く経験のない業界に飛び込むことになり、併せて「税理士になりたい」という夢も捨てきれず、たどりついたのが「M&A」でした。

結果的に、数千万円で会社を売ることができ、ブランドも・従業員も・顧客も守ることができたということです。

もし、ここで「M&A」という道を考えず、ただ会社を“閉める”という道を選んでいたらどうだったでしょう。

当時の試算では、負債整理をしたうえで手元に残るのは数百万円、そして従業員さん達は失業し、ブランドも消え、顧客も困ったことでしょう。

 

こんなに綺麗に“はまる”ケースばかりではないでしょうが、事業承継の選択肢の一つとして考えておくことは必要だと思いますね。

良い相手との縁組を成し遂げるためには、良い相談相手が不可欠です。

検討してみたいというときは、まずは「商工会議所・商工会」「中小企業基盤整備機構…下記リンク」に相談されることをお勧めします。

事業承継|中小機構 (smrj.go.jp)